先日、久しぶりに通帳を記帳したら「利息」の行がありました。数字は、数円。缶コーヒーも買えません。何百万円も預けてこれか、と思わずため息が出ました。銀行にお金を「貸してあげている」のはこっちのはずなのに、なぜこんなに安いのか。
「銀行がケチだから」。私も長い間そう思っていました。でも仕組みを知ると、この答えは半分ハズレです。そして今、この話は「昔話」になりかけています。金利が動き始めた今こそ、仕組みを知っておくタイミングです。
銀行にとって、あなたの預金は「仕入れ」
銀行の商売をひとことで言うと、「お金を安く仕入れて、高く貸す」です。あなたの預金は、銀行にとっての仕入れ品。預金金利は仕入れ値です。そして貸出金利との差(利ざや)が銀行の儲けになります。
ここで考えてみてください。八百屋さんが、キャベツが売れないのに仕入れ値を上げるでしょうか? 上げませんよね。長い間の日本はまさにこの状態でした。景気が伸びず、企業もお金をあまり借りない。貸出先が少ないのに、預金だけは集まってくる。銀行には、金利を上げてまで預金を集める理由がなかったんです。
金利の「床」を決めているのは日銀
もうひとつの要因が、日銀の政策金利です。銀行同士がお金を貸し借りするときの金利の基準で、いわば世の中の金利の「床」。この床が長らくゼロ近く(一時はマイナス)に置かれていたので、その上に乗っている預金金利も、床にへばりつくように低いままでした。
つまり預金金利が低かったのは、「借り手がいない」×「金利の床がゼロ」というダブルの構造のせい。銀行の意地悪ではなく、あなたのお金の「行き先」がなかったことが本当の理由です。

ここが今日の核心です
利上げの時代、銀行は預金金利も上げる。ただし「貸出金利より遅く、小さく」。これが構造から導かれる答えです。仕入れ値(預金金利)の引き上げはコストなので、銀行はできるだけゆっくり動きたい。一方、売り値(貸出金利)は収益なので、こちらは比較的すばやく動きます。
実際、日銀が利上げ局面に入ってから、普通預金の金利を引き上げる銀行のニュースが少しずつ出てくるようになりました。「0.001%が当たり前」だった時代は終わりつつあります。ただしそのスピードは銀行によってバラバラで、黙って待っている人の金利は、なかなか上がらないのが現実です。
で、私たちはどうすればいいのか
①利上げのニュースが出たら、数週間後に「自分の銀行の金利改定」を確認する癖をつける(銀行のお知らせページに出ます)。②お金を役割で分ける。すぐ使う生活費・もしもの生活防衛資金は預金のまま。当面使わない余裕資金まで全部を普通預金に置いておくのが最適かは、金利が動く時代には考え直す価値があります。③次の日銀の金融政策決定会合に注目する。預金金利の「床」がどうなるかは、ここで決まります。
💬 経済太郎の本音
利息数円の記帳を見た日、悔しかったので計算してみたんです。仮に金利0.001%なら100万円で年10円。0.2%なら2,000円。同じ「預けているだけ」で200倍違う。銀行を替えるのは面倒です。でもこの面倒の対価が数千円なら、私はやる価値があると思ってしまう性分です。損したくないですから。
よくある質問
Q. 金利が高い銀行に移すのは危なくないですか?
A. 日本の銀行に預けた預金は、1つの銀行につき元本1,000万円とその利息まで預金保険制度で保護されます(当座預金など決済用預金は全額)。金利の高さそのものより、この保護の範囲内かどうかで考えるのが基本です。
Q. 預金より投資のほうがいいということですか?
A. この記事はどちらかを勧めるものではありません。生活費や近い将来使うお金は預金が向いています。長期の余裕資金の置き場については、証券口座の選び方など制度の解説記事を参考に、ご自身で判断してください。
次に読むなら
→ 利上げとは?私たちの生活への影響
→ 日銀の金融政策決定会合とは?
→ 新NISAとは?制度の仕組みをやさしく解説
※本記事は仕組みの解説を目的としたものであり、特定の金融機関・金融商品を勧めるものではありません。金利は変動します。必ず各金融機関の最新情報でご確認ください。

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