給料が上がった月の明細を見て、一瞬だけ嬉しかった。でもその週末、スーパーで米と卵の値段を見て、嬉しさは静かに消えました。レジで「あれ、うちの生活、前より苦しくなっていないか?」と立ち尽くす。──もしあなたにも覚えがあるなら、最初に言わせてください。それはあなたの頑張りが足りないせいではありません。
「上がったのに買えない」は、日本中で起きている
この数年、ニュースは何度も「歴史的な賃上げ」を報じてきました。それ自体は嘘ではない。でも同じ期間、食品もエネルギーも、それ以上の勢いで値上がりした局面が続きました。つまり「給料の数字は増えたのに、買えるものは減った」という現象が、あなたの家だけでなく国全体で起きていたのです。
この「見た目の給料」と「本当に買える量」のズレを測るのが実質賃金という物差しです。

| ケースA | ケースB | |
|---|---|---|
| 給料の伸び(名目) | +2% | +2% |
| 物価の伸び | +1% | +3% |
| 実質賃金 | 約+1%(豊かに) | 約-1%(苦しく) |
※数字は仕組みを説明するための計算例です。同じ「+2%の賃上げ」でも、物価次第で生活は豊かにも苦しくもなる──これがこの物差しの本質です。
ここからが本題: 「平均の賃上げ」はあなたの賃上げではない
実質賃金を知ると、もう一歩先が見えてきます。ニュースの「賃上げ率◯%」は、大企業も中小も、若手もベテランも全部ならした平均値です。あなたの明細とは別物。そして物価の統計も全国平均のかごで計算されるので、食費の割合が高い家庭ほど、実際の打撃は統計より大きくなります。
つまり──ニュースの数字を眺めていても、あなたの家計の真実は永遠にわからないのです。見るべきは、テレビの中の平均ではなく、自分の購買力。ここが今日いちばん持ち帰ってほしい視点です。
自分の実質賃金を30秒でざっくり計算する
- 自分の給与上昇率を出す: 昨年の同じ月の手取りと今月の手取りを比べる(例: 30万円→30.6万円なら+2%)
- よく買うものの値上がり率を出す: よく買うもの5品(米・卵・ガソリン・光熱費・よく行く店のランチなど)が1年前からどれくらい上がったか、ざっくり平均する
- 差がプラスなら前進、マイナスなら後退。これがあなた個人の実質賃金です
厳密な統計ではありません。でも「自分の数字」を持った瞬間、ニュースの平均に一喜一憂しなくなります。
計算した数字は、こう使える
自分の実質がマイナスだと分かったら、それは落ち込む材料ではなく交渉と判断の材料です。
- 賃上げ交渉・転職の判断軸になる: 「物価上昇に対して自分の給与はどうか」は、感情論ではない客観的な論点です
- 家計の見直しの優先順位が決まる: 収入側で追いつけない分は、固定費と仕組みの見直しで取り返す
- 制度を使う動機になる: 現金の購買力が削られる時代の防御策として、新NISAやiDeCoのような制度を「知った上で」判断する
💬 経済太郎の本音
私は「賃上げ率、過去最高!」という見出しを見るたびに、少しイラッとします。上がったのは事実でも、物価がそれ以上なら財布は実質マイナス。数字の見出しで「良くなったでしょ?」と言われると、生活の実感を置き去りにされた気がするんです。だから私は、実質賃金を「生活者が自分の感覚を数字で武装するための道具」だと思っています。モヤモヤしたら、平均ではなく自分の数字を出す。丸め込まれない大人になる第一歩です。
会話でおさらい
よくある質問
Q. 実質賃金はどこで発表されていますか?
A. 厚生労働省の「毎月勤労統計調査」で毎月公表されています。ニュースで「実質賃金◯カ月連続マイナス」と報じられるのはこの統計です。
Q. 名目賃金が上がっていれば、いつか実質もプラスになりますか?
A. 物価の伸びを賃金の伸びが上回れば転換します。日銀が「物価と賃金の好循環」を注視しているのは、まさにこの転換が持続するかを見ているためです。
Q. 個人でできる対抗策はありますか?
A. 収入側(交渉・転職・副業)と支出側(固定費)、そして資産側(制度の活用)の3方向があります。物価高から家計を守る5つの基本にまとめています。
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※本記事の数値は仕組みを説明するための計算例です。特定の金融商品の売買を勧めるものではありません。

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